物理のノート
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デルタ関数のフーリエ変換
デルタ関数(単位インパルス関数)とは
デルタ関数$\delta(x)$は,$x$軸上の一点たとえば, $x=0$において$\delta (0)=\infty$となるような特異な関数である.
デルタ関数の積分値は$1$であると考える.
\begin{equation}
\int_{-\infty}^{\infty} \delta(x) dx=1
\end{equation}
デルタ関数は物理的にみると, 電気回路に流れる瞬間的なパルス波や物体に加わる衝撃波のような諸現象を記述するものといえる(デルタ関数は単位インパルス関数ともよばれる).
デルタ関数は, イギリスの物理学者ディラック(P.A.M.Dirac 1902-84)により1927年に導入された.
デルタ関数の表現
デルタ関数のフーリエ変換と逆フーリエ変換により導出する.
まずはフーリエ変換の準備としてまず, 次のような定義を行う.これは「デルタ関数と積分可能な関数$f(x)$との積」を作り, それを積分すると$f(0)$に一致する,
ということを示す.
\begin{equation}
\int_{-\infty}^{\infty} f(x) \delta(x) dx=f(0)
\end{equation}
(1)式は, (2)式において$f(x)=1$という$x$軸に平行な直線とデルタ関数の積から導出される.
デルタ関数のフーリエ変換は, その定義と,前述の(2)式より,
\begin{equation}
F[\delta(x)]=\int_{-\infty}^{\infty} \delta(x) e^{-i \omega x}dx \qquad \text{フーリエ変換の定義}\\
=e^{-i \omega 0} \qquad \text{(2)式の定義より}\\
=1
\end{equation}
となる.
これに逆フーリエ変換を施す.
\begin{equation}
\delta (x)= F^{-1}[\delta(x)]= F^{-1}[1]=\frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty} 1 \cdot e^{-i \omega x}d\omega \\
=\frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{\infty} e^{-i \omega x}d\omega
\end{equation}
デルタ関数は特異な関数であるがゆえに,数学的に厳密な定義を行うには,高度な知見が要求される. ただ,デルタ関数の表現として理工学分野で広く利用されているのが(4)式である.
デルタ関数のように特異な関数を数学的に定義するためには, 積分可能な関数$f(x)$との積を作り, それを積分するというアプローチをとる.
従来の関数の考え方を拡張することで得られる,このような一般化された関数(汎関数)は超関数と呼ばれる.
超関数の理論は, フランスの数学者シュヴァルツ(シュワルツ)により1940年代後半に導入された.
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