物理のノート
電磁気回路の基礎と応用
電動機(モーター)
電動機は, 電気エネルギーを機械的エネルギー(回転運動)に変換する機械の総称. 機械的エネルギー(回転運動)を電気エネルギーに変換する
発電機と機構的に逆である.
電動機の分類と特徴
種類 | 原理と特徴 | 長所 | 短所 | 用途 |
直流で動作するモーター |
直流整流子モーター | 巻線形直流整流子モーター |
- 電機子コイル(回転子)と界磁コイル(固定子)を使用
- 永久磁石形直流整流子モーターに比べると, 主流から外れつつある
| トルクや出力を大きくしやすい(界磁コイルに与える電力や巻数増加で強い界磁に) | |
|
永久磁石形直流整流子モーター | 固定子の界磁磁石が, 永久磁石 |
- 高効率(界磁コイルを使わずその分の電力が不要)
- 始動から低速時のトルク大
|
整流子, スリップリング, ブラシの存在 | 自動車のボディ装置に使われるもの(エアコンのファン, パワーウインドウ, 電動ドアミラー, パワーシート, 電動スライドドアなど) |
スロットレスモーター | 小分類 | 原理と特徴 | 長所 | 短所 | 用途 |
コアレスモーター | 小分類 | 原理と特徴 | 長所 | 短所 | 用途 |
ブラシレスモーター | 小分類 |
- 固定子=電機子, 回転子=磁石(界磁を行う磁石が回転する)
- 転流させるスイッチは「電子的なスイッチ」
- 永久磁石形 同期モーターと回転原理は同じ
- ホール素子によって磁界の変化を検出(磁界が変化すると起電力の向きが都度逆転)し, パルス波を出力する(ゲート電圧へ)
| - 整流子, ブラシがない(=Brushless, 永久磁石形 直流整流子モーターの短所を解消している)
- 低速時の大トルク回転
|
- トルクリップルやコギングトルクによるトルク変動が生じやすい.
| (近年の)掃除機, 洗濯機, インバーター冷蔵庫(ブラシレスモーターのセンサレス駆動) |
交流で動作するモーター |
三相誘導モーター |
かご形回転子 |
- 始動時の二次周波数は, 定常運転時より高い.
- 軽負荷時には, 全負荷時より二次銅損は少なく, 効率が下がる(鉄損のみとなる始動時の効率が最大になる).
- 負荷速度特性は, 直流分巻電動機に似ている.
| 長所 | 短所 | 用途 |
巻線形回転子 | 原理と特徴 | 長所 | 短所 | 用途 |
単相誘導モーター | |
- 単相交流では回転磁界を作れず, 極性が交互に入れ替わるだけの交番磁界のみ作れる. しかし, 交番磁界の中で, 誘導モーター用の回転子を回転させると, 回転子に誘導電流が流れてトルクを得て, 回転を続ける(二相回転磁界).
| | | (旧式の)洗濯機, エアコン・冷蔵庫のコンプレッサー |
同期モーター | 巻線形同期モーター | 原理と特徴 | 長所 | 短所 | 用途 |
リラクタンス形同期モーター | 原理と特徴 | 長所 | 短所 | 用途 |
永久磁石形同期モーター |
- ブラシレスモーターと回転原理は同じ(「ブラシレスACモーター」と称される)
- 「永久磁石形ステッピングモーター」の原形
| 長所 | 短所 | 用途 |
ヒステリシス形同期モーター | 原理と特徴 | 長所 | 短所 | 用途 |
インダクタ形同期モーター | 原理と特徴 | 長所 | 短所 | 用途 |
1-2-2. アウターローター形三相ブラシレスモーター
原理&特徴
- ・固定子=電機子(内側), 回転子=磁石(外側:Outer)
1-2-3. インナーローター形三相ブラシレスモーター
原理&特徴
- 固定子=電機子(外側), 回転子=磁石(内側:Inner)
- 3個の固定子コイルに, 三相交流を流せば、同期モーターとして機能する
1-3. 交直両用モーター
1-3-1. 単相 直巻 整流子モーター
原理&特徴
- 直流整流子モーターと同じ基本構造
長所 |
|
短所 |
- 騒音
- (交流:)インダクタンス$L$の影響で, 力率が低下. 連続使用時間の短い用途がほとんど.
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用途 |
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(2)交流で働くモーター
原理&特徴
-
三相回転磁界(それぞれのコイルの磁界から生まれた合成磁界が回転する. 回転中の磁界の強さ$H(A/m)$は同じ。合成磁界の強さは, 各コイル磁界の1.5倍)
2-1. 方形コイル
長所 |
極数を増やせる.
\[
N=\frac{120f}{p}=\frac{60f}{\frac{p}{2}}
\]
|
(3)半導体制御とサーボモーター
3-1. サーボモーター
原理&特徴
・サーボ制御に用いられるモーター(ただし、サーボ制御に明確な定義がないように、サーボモーターにも明確な定義は存在しない)。一般的には「制御用モーター」
・サーボ制御の特性は、サーボモーター単体で決まるわけではなく、制御回路、センサーの特性などを含めて、総合的に決まる。
(4)ステッピングモーター
4-1. ステッピングモーター
原理&特徴
・サーボモーターとして使われることが多い(位置決め制御)
・同期モーターから派生したが、交流ではなく、「駆動回路からのパルス」で動く
長所
・他のモーターのフィードバック制御の場合、センサーの種類によっては位置決め誤差が累積するが、ステッピングモーターでは誤差が累積しない(駆動回路からのパルス数と、回転角度が正確に比例するため)
短所
・駆動回路から指令された回転位置と現在位置にズレが生じても検知できない。
・振動を発生しやすく、効率が低い(トルクに余裕があるモーターを一定のトルクで運転できるような状況が望ましい。連続回転で、単にトルクを求める用途に不適)
モーターの用途(応用)
・エアコン
・(需要側である)データセンターは、直流を用いる。コンピューターなどの電気機器は直流(5V)を使用する。
・電車はかつて直流モーターを利用していたが、近年は高性能・強力(ネオジム磁石)の交流モーターが利用されている。ネオジム磁石は強力なので、モーターの中での設置が柔軟。耐久性の高い内蔵形の設置が容易である。
・ドラム式洗濯機の薄型の交流?モーターが利用されている。
従来型の洗濯機は、直流モーター
(リバーシブルモーター(コンデンサモーター)
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