物理のノート

複素解析

複素数

複素数$z_n$を, 実数部分$a_n$と虚数部分$ib_n$の和(線形結合)で表す. \[ z_n=a_n+ ib_n \] ここで, 虚数部分の符号を変えた以下の$z_{-n}=z^*$を共役複素数(きょうやくふくそすう)と呼ぶ. \[ z_{-n}=z^*=a_n -ib_n \] $z^*$は$\bar{z}$とも記される.

複素数と共役複素数は互いに共役な複素数と呼び, 次の関係を満たす. \[ z_n+z^*=2a_n, \\ z_n*z^*=\lvert z_n \rvert ^2=(a_n+ib_n)(a_n-ib_n)=a_n^2 +b_n^2, \\ a_n=\frac{z_n+z_n^*}{2}, \\ b_n=\frac{z_n-z_n^*}{2i}, \\ z_n=\frac{z_n-z_n^*}{2}-ib_n \\ \]
三角関数と複素数

オイラーの公式は, 数学者L.Euler(1707-83)の名が冠された公式であり, 三角関数と複素数(虚数と実数の線型結合で表される式), および自然対数を橋渡しすることで, 相互の関連性を示す. \[ e^{i\theta}=\cos\theta + i\,\sin\theta \qquad \] 証明には、$e^{i\theta}$, $\cos\theta$, $\sin\theta$のテイラー展開を用いる. \[ e^{i\theta}=\sum_{k=0}^{\infty} \frac{(i\theta)^k}{k!} \\ =1 + i\theta -\frac{\theta^2}{2!}-i\frac{\theta^3}{3!}+\frac{\theta^4}{4!}+i\frac{\theta^5}{5!}- \dots \] \[ \sin \theta=1 -\frac{\theta^2}{2!}+\frac{\theta^4}{4!}- \dots \] \[ \cos\theta=i\theta -i\frac{\theta^3}{3!}+i\frac{\theta^5}{5!}- \dots \]

オイラーの公式を変形すると, 複素指数関数$e^{\pm ix}$と$\sin\theta$, $\cos\theta$の関係が次のようにも表せる. \[ e^{-i\theta}=\cos\theta - i\,\sin\theta, \\ \cos\theta=\frac{e^{i\theta}+e^{-i\theta}}{2}, \\ \sin\theta=\frac{e^{i\theta}-e^{-i\theta}}{2i} \]

>>> フーリエ級数展開およびフーリエ変換に関する公式 > 複素フーリエ級数および, その係数

ところで, \[ \frac{d}{d\theta} \sin\theta=\cos\theta, \\ \frac{d}{d\theta} \cos\theta=-\sin\theta,\\ \frac{d}{d\theta} (-\sin\theta)=-\cos\theta,\\ \frac{d}{d\theta} \cos\theta=\sin\theta.\\ \] また,虚数$i$について \[ 1i=i,\\ ii=-1, \\ -1i=-i,\\ (-i)i=1. \] これらを見比べると, $\sin \theta$や$\cos\theta$を微分する, 言い換えると$\frac{d}{d\theta}$を作用させること(微分演算子(作用素))とは, 虚数$i$を実数$1$にかける操作と比較すると, "4回操作で元に戻る"という点で 同等の周期性がある. すると, 虚数$i$も演算子の一種, と見なすことができる. このことを以下のように表す. \[ \frac{d}{d\theta}=i\omega \] また, \[ \int d\theta=\frac{1}{i\omega} \] 電磁気の界隈では, 虚数$i$と電流$i$の見分けがつくようにするため, 虚数は$j$と表すのが習慣である. したがって, \[ \frac{d}{d\theta}=j\omega \] \[ \int d\theta=\frac{1}{j\omega} \] となる. もとより, 変数$\theta$は, $x$,$t$など任意の文字で置き換えられる. \[ \frac{d}{dt}=j\omega \] \[ \int dt=\frac{1}{j\omega}. \]

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